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zoom RSS 石拾い/茨城から岩手まで.ぐるり一周1500キロ

<<   作成日時 : 2008/11/07 23:10   >>

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ネットで地質を勉強して,見学したいところ,石を拾ってみたいところが溜まってきました.そこで観光とはまるで無縁の旅に出る事にしました.
筑波まで南下してから宮古まで北上し,盛岡から南下して一周する約1500Km.石拾いが主目的で山は付け足しです.7日間の旅.長いブログです.

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旅行図(左:南半分,右:北半分)

10/28(石の標本館,筑波山)
まずは,かなり道に迷ってつくばの「石の標本館」.(独)産業技術総合研究所(産総研)の施設です.私がお世話になっている地質図は産総研の公開DBです.
こんな素晴らしい標本観察が何と無料とは!しかし,おそらくは税金が使われているのでしょうから,「ただより高いものはない」のかもしれません.じっくり勉強させて頂きました.

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地質標本館の展示(ネットから借用)

筑波山はゴンドラで女体山(877).1時間程で男体山(871)を往復.

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筑波山の600m以上は花崗岩が風化して,斑れい岩が露出しているとの事ですが,なるほど道脇の岩はほとんど黒に近く,踏まれたところはつるつるの緑です.このはんれい岩は,自身が上昇したのではなく,上昇する花崗岩マグマが捕獲した巨大な岩体だとの説があるようです.
オリーブ色のかんらん石,濃緑色の輝石(2面の劈開がほぼ90度で接しているので輝石と判断)が区別できるようです.

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筑波山の斑れい岩/かなり変色している

北上.
道祖神峠から左の脇道に入り,次の目標・吾国山の登山口付近で車中泊.

10/29(吾国山,石の百年館,日立・日鉱記念館)
吾国山(518)を選んだのは,この地域の変成岩を見たかったからです.「吾国山変成岩」と呼ばれているらしいので,頂上にはあるんだろう...という単純な動機.
登山口からの標高差は僅か140mで,すぐに頂上.立派な石垣に囲まれた大谷石製の神社あり.石は変成を受けているとはとても思えません.地質図どおり斑れい岩と思いました.特徴に乏しい山で,何の印象も残りませんでした.

北上.
稲田へ下って「石の百年館」.見学の前に,有名な稲田花崗岩の石切場見物.写真のホルンフェルスは圧巻でした.花崗岩に捕獲されたおそらくは砂岩が花崗岩の熱で変成した接触変成岩です.ルーペで覗くと微細な結晶がキラキラ輝いています.

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花崗岩(白)とホルンヘルス(黒)/稲田の石切場

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稲田花崗岩とホルンフェルス

石の百年館も圧巻!タカタという石屋さんの私設博物館ですが,ネットではお目にかかれない凄い標本に感嘆.
滅多に買い物をしない私が,研磨された石の切片をコースター用にゲット.500円.

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石の百年館と石切場(ネットから借用)

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ペグマタイト(巨大な結晶)標本/石の百年館

北上.
ロードマップが貧弱なので,又かなり迷って日立の日鉱記念館には閉館間際に滑り込み.
日立鉱山(1981閉山)の記念館で,これが又無料.鉱物の標本が素晴らしいのですが,今のところ興味の対象外なので,私には馬耳東風的.もったいないですね.
近くの高鈴山(623)へのルートを聞くと,記念館の方曰く「高鈴には岩はありません.近くの沢道に露頭があります」....山は中止.

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日鉱記念館(ネットから借用)

近くの駐車場で車中泊.

10/30(日立・宮田川,楢葉町・木戸川)
記念館横の宮田川で石拾い.日立変成帯の真っ只中です.川への斜面は車から捨てられたゴミで嫌な感じですが,川石はいかにも変成岩らしく複雑で魅力的.今回のテーマの一つはインテリアになりそうな,ほどほどの大きさで綺麗な石を探す事なのですが,写真は候補.磨いたら縞模様が素敵かもしれません.赤い美しい結晶の石も見つけましたが,残念ながら大き過ぎ.

魅力的な地域でした.今度はオフィオライトの露出する西側を訪れたいと思いました.
オフィオライトとは一つの石の名前ではなく,マグマ近くの蛇紋岩や玄武岩,その上の堆積岩などが,地下深くから搾り出された岩石類のセットです.ですから色んな石が拾えそうです.地質図で年代が表示されていないのはこの為なのでしょう.

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片岩?/日鉱記念館近くの宮田川

北上.
夏井川も興味津々ですが,上流の背戸峨廊や二ツ箭山は又訪れる機会もあろうとスキップ.
いわきICから広野ICは高速を使い,次の目的地・木戸川近くの道の駅で温泉リフレッシュ.
木戸川は阿武隈山地を南北に走る古い変成岩帯を貫く2つの断層(畑川,双葉)を直角に横切っているので,面白い石が見つかるかもしれません.
R6から少し上流で見つけた河原は真っ白.つまりほとんどが花崗岩ですが,片麻岩らしいのを見つけました.私には未だ片岩と片麻岩を見分ける力はありません.

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片麻岩?と捕獲岩を抱えた花崗岩/楢葉町・木戸川

北上.
仙台からR45に入り,道の駅で車中泊.

10/31(気仙沼・鹿折川,氷上山)
今日の一番目は気仙沼・鹿折川での有名な薄衣(うすきぬ)礫岩探し.4億年前とも言われる日本最古クラスの礫岩です.ネットの文献から,北上川沿いの川崎村・薄衣と登米でも探す予定です.

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大船渡線に沿って鹿折川を北上.橋の上から川石を見下ろしていると,おばさんが近寄ってきました.

「石の中に石のある石を知りませんか」...と訊ねると
「子持石は聞いた事あるな.だけどこの辺にはね(無)」...とのつれない返事

「地元では子持石という」のは知っていましたが,子持石が無いのに,おばさんはなぜ知っているのでしょう?
あるはずと直感して粘りましたが鹿折川本流は駄目.
そこでネットの詳細図(http://www.gsj.jp/Pub/Bull/vol_20/20-01_01.pdf)では正に薄衣礫岩マークの鹿折駅裏の沢を探しましたがやはり発見できませんでした.断念.

二番目はこれまた有名な氷上花崗岩採取のための氷上山(875)です.5億年前の花崗岩は日本では例外的に古く,その成因は地質学の大きな問題の一つのようです.
広田湾を挟む氷上山の南面は山頂近くが荒れていて,魅力に欠けます.

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氷上山/広田湾を挟んで南から

登山口からの標高差は480m.道の転石は花崗岩と緑の石が混じっています.地質図で深成岩類となっているのは正しいようです.深成岩類なら緑の石はせんりょく岩か斑れい岩ですが,私には判別困難です.
山頂の花崗岩は風化が進んでいて残念でした.これも古いためなのでしょうか?
中腹で新鮮な断面を採取しましたが,古いからといって普通の花崗岩と顔付が違うわけではありません.

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氷上花崗岩と緑の石/左:山頂(風化),中:中腹

北上.
吉里吉里を過ぎた四十四坂パーキングで車中泊.

11/01(釜石・甲子川,五葉山)
釜石鉱山から雌岳の計画でしたが,何と仙人峠手前の登山口への道路が通行止め!歩こうにも,完全なシャットアウト.奥は閉山した石灰石鉱山なので,私有地なのでしょうか?止む無く断念.

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甲子川で石を拾ってから,山らしい山に登ろうと五葉山(1351)に転進.地図無しですが,楢ノ木平登山口の入山カードボックスに10mコンターの詳細な地図付のパンフ!助かりました.

標高差約600m.氷上山とは違って,転石は全て花崗岩.暗い道でネクラな気分でしたが,C1320m辺りで視界が開け,いかにも花崗岩の山らしい風情.転進成功です.

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稜線付近からの五葉山

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頂上近くの巨岩(右のクラックにいたずらしましたが登れそうです)

ところで,中腹の鳩ノ峰付近には,1Km位の直線状の盛り上りが走っています.人工物とは思えません.盛り上がり上の木の太さから,50年位前に出来たのかなーと思いました.私の結論は断層なのですが...家に戻ってから活断層DBを調べましたが見つけられませんでした.

鳩ノ峰から登山口間はだだっ広い緩斜面で,下草がほとんどなく落葉に覆われているので道が判りません.20分位迷って登山口から数百m程外れてしまいました.無雪期でもGPSが必要そうなルートなんて初めてです.
いい山に登れて幸せでした.

さてさてと どっちへ行くか 落葉道

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直線状に続く盛上り地形.断層?

車での戻り道...夕方の北上の山なみが中々でした.準平原なのでしょうが山腹は急斜面です.準平原になってから又隆起した隆起準平原なのでしょうか?

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北上山地の山なみ.左端は登るはずだった雌岳

北上.
宮古手前の道の駅で車中泊.

11/02(早池峰・握沢,兜明神嶽,岩手県立博物館)
今回,初めての雨模様.宮古からR106を山田線に沿って西へ.平津戸を過ぎて早池峰登山口へ.握沢で早池峰から崩れてきた蛇紋岩を拾おうというもくろみです.

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ところが岩はほとんど緑色.どれが蛇紋岩なのか見当がつきません.写真の左はインテリア用ですが,右がそれならハッピーなのですが...

早池峰の 蛇紋の沢や 秋深し

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蛇紋岩?/早池峰・握沢

さて,いよいよ最後の山・兜明神嶽(1005)です.兜神社から往復で標高差270m.あいにくの雨.早池峰は雲の中ですが,山腹は冠雪しています.山頂部の高差30m程の硬い岩場は地質図によれば海山性の玄武岩.赤道方面からプレートに乗って,2.5億年かけて延々と運ばれてきたのでしょう.

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兜明神嶽(ネットから借用)/登ったのは反対側から

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頂上への岩場(ネットから借用)

ネットで調べると玄武岩は実に様々で,これがそうだという自信はなし.地質図に従っておきます.

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玄武岩?/左:山頂.風化が進んでいる,右:転石.

西行.
盛岡では予定外の県立博物館.興味深い展示ばかりでしたが,私にとって最も役に立ったのは屋外(無料)の岩石園で,49種の大石が並んでいます.役に立った訳は,自然状態ではどの石も真っ黒で見分けがつかない...という点でした.必ず割る必要があります.今回はクライミング用のハンマーを持参(堕落!)しましたが,薄いのは容易でも玉状のは小さくても大変で,大石は絶対に割れませんでした.

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岩手県立博物館・岩石園

南下.
薄衣礫岩の本家・川崎村の道の駅で車中泊.パトロールの警察官に子持石を訊ねると「知らない」との返事.

11/03(川崎村・薄衣,登米市・北上川支流)
慎重に詳細地質図を見ながら徐行探索.農家の横の涸沢を見つけて入り込むと,落葉に覆われていましたが遂に発見!大部分は粘板岩とおぼしき黒い石ですが,礫の凸凹でそれと判断できました.3石ゲット.

薄衣の 落葉を掻くや 子持石

この礫岩はどのように出来たのでしょう?学会でも未だ謎のようです.南部北上帯は南半球のゴンドワナ大陸の一部らしいので,礫はそこで堆積したのでしょうか.それとも,プレートに乗って北上し,アジア大陸に引っ付いてから大陸側からもたらされたのでしょうか.どうしたらそれを実証できるのでしょうか.化石でしょうか.
そんな想像をするのは楽しいですね.

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薄衣礫岩/川崎村・薄衣

南下.
もう登米で礫岩を探す必要は無いのですが,北上川に沿って南下したいので立ち寄る事にしました.
登米も詳細地質図で探索.北上川左岸の小さな支流の河原で又も発見.しかし僅か1石.白と緑の縞模様(層理)のはっきりした堆積岩も採取.

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砂岩泥岩互層?/登米市・北上川左岸支流

これで予定を全て終えました.

石を沢山拾ったので,これからは,その整理が大変ですが楽しみでもあります.インテリア用は石屋さんに切断してもらったり,磨いたりしなければなりません.磨きは自分でやりたいのですが....

11/20追記
興味のある石を石屋さんで切ってもらったり,自分で研磨したりしました.

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筑波山のはんれい岩/研磨して接写.鉱物が明確に区分できます

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稲田のホルンフェルス/切断・研磨.予期しなかった模様が現れました

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日立の片岩/研磨.ぼやけた白い斑点は潰された石英です.

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木戸川の片麻岩/研磨.めちゃめちゃに潰されています.多分竹貫変成岩

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握沢の蛇紋岩?/研磨.濃緑なのですが....

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握沢の斑れい岩/オリーブ色のかんらん石が多いようなので,かんらん岩かも.

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薄衣礫岩/切断・研磨.花崗岩は無いようです

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登米市の堆積岩/切断・研磨.層理が不鮮明になってしまいました

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登米大橋と北上川:2002/10/19撮影 使用機:LEICA digilux... ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私は、筑波山のロープウェイのりば近くの山中の花崗岩があるところで、
すきとおっている石がびっしりくっついている石(かくかくしている石)
を見つけました(家においてある)。
何という石でしょうか?
水晶でしょうか?
水連 桃華
2009/10/08 10:07
私も地質の研究をしてますが、面白い記事ですね。良ければ私のブログも覗いてみてくださいね。http://ameblo.jp/nepal-himalaya/ 地質科学を盛り上げていきましょう
Takeshi
2014/11/18 14:24

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